心配する女性

ここ数年の間に、性病が増え続けています。
その背景には性交渉の低年齢化や不特定多数化、性風俗のファッション化、肛門を使うアナルセックスや口を使うオーラルセックスの一般化などがあると考えられています。
また、女性の場合は自覚症状が特にないために、自分が性病になっているとは知らずに性交渉を続けていること、加えて不特定多数のセックスパートナーを持っていることでネズミ算式に増えているものだと考えられています。
ある産婦人科では、主婦やOLの性病患者が風俗関係の仕事をしている患者さんよりも上回ったそうです。
これらの背景も性病が蔓延している一因だと考えられています。
正しい知識を持って、早く気づいて早期に治療することで蔓延を防ぎましょう。

性病の一般的な感染経路は性行為から

性病とは、性交渉によって皮膚や粘膜に接触した菌やウイルスや、細菌よりも小さくウイルスよりは大きい病原体などによる感染症です。
近年は膣と男性性器による性交渉だけではなく肛門と男性性器や口と男性性器の接触もあるため、性病に感染するリスクは増えています。
半数はオーラルセックスが関与しているという性病も、あります。

男性性器を舐めたり口に含んだりすることで、女性が咽頭感染や口腔内にも感染していることがあります。
そして口腔内感染に気が付かずにキスをすることで男性の口腔内にもうつしてしまいます。
口腔内感染した男性が女性の性器を舐めると、今度は女性の性器に感染するという経路をたどることもあります。

性器と性器だけではなく、性器と口や性器と肛門といった多種類のルートになっているため、今後はますます蔓延するのではないか、などといったことが危惧されています。

また、2002年の高校生への調査では、高校3年生の女性の約46%、高3男子の約37%がすでに性交渉を経験していました。
1993年は高3女子で34%、高3男子は29%だったので、性交渉を経験するのがますます低年齢化していることや、遊びの延長やファッション化してきていることも危惧されていることの一つです。

性病の感染に気付きにくい

女性の場合は、感染していても気が付かないことが少なくありません。
妊娠して妊婦検診を受けた際に初めて性病に感染していることが判るケースも多いです。
また、不妊症の相談に行った婦人科で性病に感染していることが発覚したというケースも少なくありません。
性病には多くの種類がありますが、8割の患者さんが何も症状がなかった、という性病もあります。

このように、長年気が付かずに性病を持ち続けているケースもあります。
このような場合、知らず知らずのうちに、多くの人に感染させているという可能性もあります。
セックスパートナーが不特定多数で、そのセックスパートナーも不特定多数のセックスパートナーがいる場合は、まさにネズミ算式に蔓延させていることになります。

性行為をしなくても感染するトリコモナスやカンジダ

性病にはいろいろな種類がありますが、性器カンジダやトリコモナスなどは性交渉をしていなくても発症することがあります。

カンジダとは

カンジダ菌は膣の中に常在している菌です。
健康な人でも膣の中にはカンジダ菌がいます。
普段は特に悪さをすることもなく、おとなしくしています。
ところが、ストレスがたまったり疲れていたり少し風邪をひいただけでも、カンジダ菌が暴れ出して膣の中で繁殖して膣カンジダ症になることがあります。

妊婦さんや糖尿病がある人や、ステロイドや免疫抑制薬や抗菌薬を長期間飲んでいる人はカンジダになるリスクが高くなることも判っています。
このように、元々膣の中で常在していたカンジダ菌が繁殖したものを内因性感染と言い、性交渉で外から入ってきたカンジダ菌が繁殖することを外因性感染と呼んでいます。

現代人は何かとストレスが多いのが現状です。
ブラック企業などという言葉があるように、過労状態で働いている人も少なくありません。
このような状態のときには、カンジダ菌が暴れ出して発症しやすくなります。
加えて、現代の若い世代の食生活は乱れているケースが多いため、免疫力が低下している人も増えています。
これらが、カンジダになる人が増えている一因になっていると考えられます。

トリコモナスとは

トリコモナスは、トリコモナス原虫に感染して発症する病気です。
トリコモナス原虫は、4本の鞭毛と波動膜を使って活発に運動するゾウリムシに似た原虫です。
性交渉以外にも、便器やきちんと消毒をしていない内診台や検診台、衣服、お風呂などから感染することもあり得ます。

私たちの膣の中は乳酸桿菌という善玉菌がいて、その働きで膣内は弱酸性に保たれています。
そのため、大腸菌やトリコモナスが膣内に侵入しにくくなっています。
しかし、善玉菌である乳酸桿菌が不足すると膣内の酸度が正常に保てなくなり、トリコモナスが繁殖しやすい状態になります。

健康な時は、トリコモナスは膣の入り口で乳酸桿菌に阻止されますが、過労やストレスや風邪などの病気で免疫力が落ちていると、トリコモナスが膣の中にまで侵入しやすくなります。

性病の種類によって異なる治療法

性病にはいろいろな種類があります。
現在の日本では17種類の性病が警戒すべき性病として扱われていますが、性病の種類によって治療法は異なります。

トリコモナスの場合

メトロニダゾールやチニダゾールの内服薬が基本的な治療法です。
商品名で言うと、フラジールやハイシジンという治療薬になります。
トリコモナスは膣内だけはなく尿道や肛門や直腸などでも生息している可能性が高いので、外用薬ではなく内服薬で治療します。
通常は10日ほどで治ります。
セックスパートナーに対しても治療が必要です。

フラジールやハイシジンなどのトリコモナスの治療薬を服用中は、アルコールは控えてください。
治療薬が効きにくくなります。

性器カンジダの場合

膣の洗浄だけで済む場合もあれば、抗真菌薬を膣に挿入する膣錠や外用薬の塗り薬での治療が必要になることもあります。
商品名で言うと、エンペシドやフォルカンが代表的な性器カンジダ症の治療薬です。

症状がない場合はたとえカンジダ菌を保菌していることが判っても、カンジダ菌はもともと膣内の常在菌なので、特に治療を行わないこともあります。
大半は、ゆっくりと休養して疲れを取りストレスをためないようにすれば数日で治ります。
一部で再発を繰り返す例や難治性の例では、できるだけ誘因となる過労やストレスを避けることが重要です。
セックスパートナーに対する治療ですが、カンジダの場合は症状が特にない時は治療の必要はありません。

治療は早めに開始する

性病に感染している可能性がある場合は女性の場合は婦人科で、男性は泌尿器科で診察や治療を受けてください。
婦人科や泌尿器科は、今までに行ったことがない人が大半でしょう。
行きにくいとか恥ずかしいなどの気持ちがあるのは分かりますが、早く治すことが重要です。
最近の婦人科はブティックやカフェや美容院などが入っているビル内にあることも多く、入りやすくなっています。
きちんと受診して治療しましょう。

性病感染で多くみられる症状とは

女性が性病に感染しても、これといった症状がないことが多いです。
そのために、知らず知らずのうちに感染を広げていることが問題になっています。
しかし、多くの人は「今から考えると」とか「そういえば」という心当たりを、後から思い出したり気づいたりしています。

唯一の症状ともいえるのが、おりものの変化です。
最近はおりものシートを使う人が増えているので、おりものを観察することもないかもしれませんが、できればおりものの観察も健康チェックの1つに入れてほしいものです。
性器カンジダ症になると、おりものの量が増えます。
そしてヨーグルトが固まったような、カッテージチーズのような白いおりものになります。

おりものの匂いも、生臭い臭いやツンと鼻をつくような臭いになります。
そして膣にかゆみを感じます。
また、膣が赤く発赤することもあります。

膣トリコモナスは、性交後5日~1ヶ月くらいで発症することが多いです。
外陰部に強いかゆみが起こります。
じっとしているのも辛いくらいのかゆみになることもあるので、ここで気が付いて受診してほしいものです。

おりものにも変化が現れます。
おりものの量が増えて黄色や淡い灰色になり、泡末状となります。

膣壁が赤く発赤することもあります。
おりものの悪臭が非常に強いことも特徴なので、放置しないで病院へ行ってください。

他の性病は10歳代や20歳代に多いのですが、トリコモナスは中高年など幅広い年齢層で見られます。
トリコモナスも性器カンジダ症もどちらも、悪臭のあるおりものや外陰部のかゆみや発赤が決め手になります。
おりものの悪臭を「おりものシートが汗で蒸れたのだろう」などと自己判断しがちですが、「おかしいな」と思った時は、おりものシートを止めておりものの状態を観察しやすい色の下着にすることが大切です。